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派遣で働く人も健康診断を受けられる!?

派遣で働く人も健康診断を受けられる!?

健康診断と聞くと正社員だけの話と感じていませんか?
派遣スタッフとして働いている方、今から派遣で働こうとしている方に知ってもらいたいことは、派遣スタッフでも健康診断を受けることができるということです。
ただし、健康診断を受診するための条件など注意点があります。
今回は健康診断について解説します。

派遣スタッフでも健康診断を受けられる

派遣スタッフの皆さんも正社員と同様に健康診断を受けることができます。
派遣元企業や派遣先企業の法的義務や健康診断の種類・項目についてまずはご紹介します。

派遣労働者の健康診断は法律で定められている

「労働安全衛生法(安衛法)」に記載の通り、企業には雇用する従業員の安全衛生と健康を守る責務があります。
また、労働安全衛生法第66条において「健康診断」の義務が定められています。
(罰則規定も第120条に定められています。)
これはもちろん派遣スタッフとして働く派遣労働者も対象となります。
労働者派遣法45条に労働者派遣事業は労働安全衛生法の適用を受けるとされています。

2種類の健康診断

労働安全衛生法で定められている健康診断には「一般健康診断」と「特殊健康診断」の2種類あります。
一般健康診断は誰しもが対象となる健康診断です。
常時雇用される一般の労働者を対象とする健康診断として年に1回実施される健康診断の他に、雇い入れ時の雇入時健康診断もあります。
また深夜業に従事する人に対して行う健康診断の頻度は、これらよりも高く定められています。
もう一つの特殊健康診断とは、化学物質などの有害な業務に従事する労働者のための健康診断で、具体的な業務や健康診断の項目、頻度などは労働安全衛生法で規定されています。

派遣という働き方は雇用主と実際に働く職場が異なるため、雇用契約のある派遣元企業はもちろん派遣先企業も労働安全衛生法の適用を受け、派遣スタッフの方の安全衛生確保の義務を負うことになります。
そのため派遣元と派遣先の両企業は締結された労働者派遣契約の中で安全衛生についてそれぞれが負う責任を定めることになっており、その費用はそれぞれが負担することになります。

健康診断を受けるための条件

労働安全衛生法では定期健康診断の対象者は、「常時使用する労働者」と定義されています。
これを派遣スタッフにあてはめるとどうなるのでしょうか?

まず、派遣会社に派遣スタッフ登録をしているだけでは勤務実績がないため、健康診断を受診できません。
実際にいつ健康診断を受けられるかどうかは、勤務が発生するときに締結する派遣会社との契約によります。
そのため、派遣会社ごとに条件が異なります。
派遣会社それぞれが就業年月などの基準を定め、実施しています。
健康診断を受診できるのか否か、受診できるのはいつなのかは、個別の雇用契約書で確認するようにしましょう。

健康診断の流れと費用負担

派遣スタッフの方が健康診断を受診する基準を満たした場合、通常メールや文書等で健康診断受診の案内が届きます。

定期健康診断は1年に1回、基本的には自分で申し込む

定期健康診断は1年に1回実施されることが一般的です。
一般的な健康診断の場合、受診終了までの所要時間は半日または1日かかります。
案内が届いたら必要事項を確認し、自分で健康診断の予約をしましょう。

受診後には診断結果が届きますのでしっかり確認しましょう。
もし再検査の通知があれば自分で病院へ行きましょう。
再検査や治療の費用は自己負担となりますが、何より健康であることが働く自分のためにも一緒に働く方のためにもなります。

健康診断の受診費用・給与や交通費は?

一般健康診断の費用は派遣元企業が負担するため、原則として無料です。
ただし、自分でオプションの検診を申し込んだ場合、その追加費用を支払う必要があります。
(派遣元の会社によっては受診の際にいったん実費を立て替え払いして後で払い戻しを受ける場合もあるので、事前に確認することをお勧めします。)

次に給与や交通費ですが派遣スタッフの場合、健康診断は業務の範囲外となり原則として無給です。
休日、または有給休暇を取得して受診しましょう。
また、健康診断にかかる交通費などの経費支給はありませんので、最寄りの指定医療機関を選ぶようにしましょう。

派遣先で健康診断の休みの許可が出ない場合はどうしたらいい?

健康診断の休みの許可が派遣先から出ない場合、すぐに派遣元企業の担当者に相談するようにしましょう。
健康診断の受診は労働者派遣法で定められている派遣労働者の権利なので、受診条件を満たしているにも関わらず派遣先企業が受診を拒否することは罰則の対象になります。
だからこそ派遣元企業から派遣先企業に調整してもらうように相談しましょう。
また、特殊健康診断の場合には派遣先企業に実施の義務がありますが、これが実施されない場合も同様に罰則の対象となります。

まとめ

企業が従業員の安全と健康を守る義務を定めた「労働安全衛生法」に基づき、派遣スタッフも健康診断を受けることができます。
一定の条件を満たしたうえで、1年に1回の定期健康診断を受診することが一般的です。
定期健康診断受診の通知がきたときは速やかに内容を確認し、必要に応じて休暇を取得して予約を済ませるようにしましょう。
受診しなかった場合の罰則などはありませんが、受診対象者に健康診断を受診させない企業には罰金が科せられます。
皆さん自身の健康管理のためにも健康診断の通知が来た際は必ず受診するようにしましょう。